

この度、第9回近畿周産期精神保健研究会を令和7年2月15日、16日に愛仁会高槻病院で開催する運びとなりました。当院での開催は、第3回に続き2回目となります。今回のテーマは、「親と子の自立・自律(じりつ)を支える」です。
「自立」とは、母親や家族が適切な社会的・医療的支援を受けながら、自ら主体的に育児や生活を営む力を指します。一方、「自律」とは、母親、家族、医療者がそれぞれの状況に応じ、責任ある判断を行う能力を意味します。この「じりつ」を支えるためには、医療的支援だけでなく、心理的支援や各家庭の価値観に寄り添うことが重要です。妊娠期から産後に至るまで一貫した支援体制を整えることで、母親や家族が安心して支援を受けられる環境を構築し、主体的な判断を促進できると考えています。
本研究会は、周産期医療に関わる多職種が精神保健の重要性を理解し、連携と協働を通じて赤ちゃんと家族を支える支援の在り方を研究し、実践することを目的としています。医師、助産師、看護師、保健師、臨床心理士、ケースワーカー、遺伝カウンセラー、セラピスト、保育士など、多職種が一堂に会することで自由な意見交換を行い、より深い学びを得る場を提供しています。
本研究会の初日となる2月15日には、周産期における「こころのケア」をテーマとしたワークショップを行い、多職種による協働を目指したカンファレンスを予定しています。翌日の2月16日には、特別講演として「周産期グリーフケアはちどりプロジェクト」から、医療者と医療を受けた当事者の視点によるお話を伺います。また、さいたま子どもこころクリニックの星野崇啓先生をお招きし、「アタッチメントと自立・自律」というテーマで基調講演を行っていただきます。その後、シンポジウムでは「人生の区切りにおける自律・自立への支援」をテーマに、出産前から新生児期、小児期に至る3つの時期に分けて医療者だけでなく患者の視点も交えながら議論を深めていきます。
本研究会を通じて、「親と子の自立・自律」を支えるための具体的な実践方法や多職種連携の在り方を、参加者の皆様とともに考えられる場となることを期待しております。周産期医療に携わる多くの皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。
第9回近畿周産期精神保健研究会 会長 津川二郎